『千年女優』愛知版in長久手の作り方(1)

長い様で短かった、『千年女優』愛知版in長久手が終わりました。舞台監督・ぜんさんの車に揺られて大阪に帰って来た時、狭い道路と狭い空にひしめく街の明かりが何とも愛おしく思えたものです。仕事で大阪に出てくる必要に迫られたものの、もともと神戸で生まれ育った私にとって、大阪という街に馴染むまではとても時間がかかりました。そんな大阪もすでに私の第二の故郷となっていることに気付き。今回の旅の一番の収穫はそこだったのかもしれないなあ、などと、ひとり郷愁にひたる旅の終わりとなりました。
さて、『千年女優』in長久手。大変濃い4日間+半日でした。長久手に来れなかったお客様もたくさんいらっしゃったことと思いますので、私たちが長久手の日々をどう過ごしたのかご紹介も兼ねて、しばらく旅の記録を綴っていきたいと思います。


4/30(木)
5/1の朝イチから予定されているリハーサルに備えて、この日は車組と電車組に別れて前乗り。私は、清水かおりと前渕さなえと共に、舞台監督のぜんさん号で車組。(ちなみにこの割り振りは前渕作成の不条理なアミダくじにて決まりました。)ゴールデンウィークということで渋滞が心配だったんですが、無事3時間もかからず長久手に到着。16劇団も参加するというのに、1劇団にひとつずつ楽屋を与えていただいたことに感動。もうとにかく、ホールはめちゃくちゃでかいことを先日お伝えしたばかりですが、裏もめちゃめちゃ広い。ロビーから舞台裏までの遠さったら。
楽屋入りした私たちの一番の心配は床面のことでした。『千年女優』は、舞台を縦横無尽に走り続けるので、床のコンディションが芝居に大きく影響してきます。その為に大阪公演から靴も新しいものに替え、靴裏にすべらないよう加工を施し、舞台袖で何度も何度もチェックしました。逆に、滑って欲しいのが小道具の椅子。カグスベールを取り付けて、滑りすぎないように、でも滑ってくれるように、確認を繰り返す。
途中、同じく関西から「カラフル3」に参加していた坂口修一さんのリハーサルを見学させていただきました。今回、"チーム『千年女優』"として参戦の照明・大塚雅史さんと音響・児嶋塁さんは、"チーム・坂口修一"のスタッフでもありました。前日に稽古場でお会いしていた塁さんと、私にしてはお久しぶりの大塚さんに出会って、ちょっぴりほっとしたりして。また、今回坂口修一さんの制作として同行されていたインディペンデントの笠原さんも、颯爽と着物で登場。関西の仲間と違う土地で出会うのは何故にこう心強いのでしょうか。各劇団に与えられたリハーサル時間は2時間と短く、修一さんのリハーサルを見ながら明日の"チーム『千年女優』"のリハーサルに思いを馳せていました。2時間でどこまでできるのだろうか。舞台にはアクシデントがつきものです。不安は尽きません。
そして、ぜんさんとのお別れの時間。今回は舞台袖にいてくれないんだなあと思うとすごく心細くなりました。普段我々がどれだけ舞監さんに頼っているか、あらためて思い知らされた夜でした。
明日の準備を終え、気持ちを新たに電車組と合流のため伏見へ。電車組メンバーは、制作の寺井さん、末満さん、立花さん、KOMAKI、山根千佳、中村真利亜の6人。ホテルの裏手にあった「世界の山ちゃん」で晩ご飯。ちなみに、伏見に向かう途中、「はなみずき通」駅からリニモに乗りました。この時にも「はなみずきどおり」を「はなみずきつう」と読み、「リニモってすごいスピードで走るんやろ!?」と宣い、相変わらずの前渕節が炸裂していました。