新生、末満健一



末満さんと、東京へ。
千年女優」の製作会社であるマッドハウスへご挨拶に伺う。
今監督とは約1年ぶりにお会いすることになる。
電話とメールのみのやりとりをさせていただいていたプロデューサー氏とも、やっと会うことができる。
新大阪、新幹線車内で末満さんと落ち合う。
駅弁を買って旅の準備万端の末満さんは、実は乗り物酔いが酷いらしく、窓際席をキープ。
でもノートパソコンを開いてみたり、ニンテンドーDSをのぞかせてみたり、乗り物酔いに拍車をかけないかとハラハラしていたら、隣の席が静かになった。末満さん、目を閉じてお休み中の様子。
台本締切の真っ最中だったのでお疲れなのだなと思っていたら、「乗り物酔いが襲って来て…しばらく耐えていた」とのこと。


そんな末満さんと、車中で話がはずむ。
アニメ『千年女優』のルーツにもなった、かつて末満さんが所属していた奇跡のような演劇集団「惑星ピスタチオ」のこと。
当時この劇団のファンだった私は、お客さんとして客席で末満さんを見ていた。腹筋善之介さん、保村大和さん、佐々木蔵之介さん、宇田尚純さんらスター役者さんが並ぶ中、実は私の中で末満さんは「若手の人」という印象でしかなかった。実際、劇団の中でも一番若く、同年代だと知ったのはかなり後になってからのことだ。


その"若手"末満さんは、劇団を辞めてから「ピースピット」という一人ユニットを立ち上げた。
やりたいことがはっきりしている。
自分の作りたいもののビジョンが見えてる。
私が31年という短い人生の中で出会った数々の人の中でも、間違いなく「天才」と呼べる人の一人だ。
凡人の私が天才をつかまえて「天才だ!」なんておこがましいけれど、凡人にしかわからない「天才」を見つける嗅覚ってのがあるとも最近思う。


こうして、一緒に作品を作っている今を不思議に感じる。
今回の『千年女優』すべてに言えることなんだけど、目に見えない「縁」の糸で結ばれている。
私のイメージでは、糸の色は、白。
赤ではない(笑)。


つづく