ひとり『千年女優』上映会。

舞台写真と映像収録を担当してくださった堀川さんから、写真と引きのアングルでの記録映像が届きました。
千枚以上にのぼる写真にざっと目を通し、記録映像DVDをパソコンに入れる。
ひとり『千年女優』上映会の始まりです。
この瞬間、私はかなりワクワクしていたのです。
何を隠そう、本番でちゃんと本編を観れたのは千秋楽の一回だけ。他の回は、なんだかんだとバタバタしており、始まる前は「全ステージ座って観るぞー!」と意気込んでいたというのに、「全ステージ」の夢はもとより、「座って観る」という夢も叶いませんでした。でもでも、これは嬉しいことなんです。プロデューサーが座って観られるってことは、座席が余っているということで、座れない=満席ということなんですから、本当に皆様に感謝の気持ちでいっぱいなのです。だけど、何年も前から抱いていた『千年女優』舞台化の夢が正に叶っているその瞬間、やはり「観たい」って思うじゃないですか。自分が企画しているだけに(笑)。そこで、千秋楽の開演前、制作スタッフにちょっとおねだりしてみました。
「ねえ、チケット…ひょっとして余ってない?」
「無いですね。キャンセル待ち出てますから。」
にっこり笑顔で即答されました。
それでもメゲナイ私。
「じゃあさ、私もキャンセル待ちして、チケット買うよ!そんで、座って観る!」
「ははは、いいですねえ。」
軽く流されました。
そんなこんなで、残りすべての業務を受付スタッフさんにお任せして、私と制作の寺井さんは、立ち見とはいえ晴れて劇場内で千秋楽を観ることができました。しかし、散々「座りたい」などと駄々をこねていた私ですが、これが結果的に立ち見でよかったんです。どういうことかといいますと…無事千秋楽を迎えたという安心感と、劇場内の暖かさ、そして耳に心地よい音楽たちが、私を夢の世界へと手招きするんです(比喩ではありません)。これ、座って観ていたらうっかり寝てしまっていたところだなあ、立っててよかった、なんて思っていたら…「私、立ち見でよかったです。座っていたらヤバかったです」と、あとからこっそり寺井さんに告白されました。彼女は票券を担当してくれていて、小屋入りしてから急激に押し寄せたチケット予約の波に、ほぼ不眠で対応してくれていました。彼女がいなかったら『千年女優』の公演は成り立たなかったでしょう。寺井さん、本当にありがとう。次は愛知よろしくね!なにはともあれ、「立ち見万歳!」ということで、私の『千年女優』in大阪は幕を閉じたのでした。
というわけで私は、堀川さんから送っていただいたDVDを、初めて観劇するかのような新しい気持ちで観させていただきました。大好きなクライマックスのシーンを、何度も何度も満足するまで繰り返し観て、幸せに浸りました。これでやっと、私の『千年女優』大阪公演が終わりました。
さあ、『千年女優』舞台班は、これからこの映像を元に愛知公演の作戦会議に入ります。今回観に来ていただいたお客様や媒体のみなさん、関係スタッフからは概ね好評のお言葉をいただいておりますが、やはり「『千年女優』を舞台化する」ということに対してのビギナーズラックと、今監督からいただいた肯定的な感想によるところが大きいと思っています。このフィルターが外されて初めて、舞台版『千年女優』の真価が問われるのでしょう。この評を確かなものにするために、さらにいい作品へと昇華させるべく、テクイジーズと共に頑張っていきたいと思っています。
愛知公演、どうか楽しみにしていてください。
私の目標は…「今度こそ座って観る」です。小さっ。